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【withコロナ時代の高齢者の健康リスクと仕事と介護の両立①】『LCATデータからみるwithコロナ時代の「会えない不安」「悪化する不安』

【withコロナ時代の高齢者の健康リスクと仕事と介護の両立①】『LCATデータからみるwithコロナ時代の「会えない不安」「悪化する不安』

2020年12月9日、リクシスでは大手企業人事部様や総務部様を対象としたウェビナー『Withコロナ時代の高齢者の健康リスクと仕事と介護の両立』を開催いたしました。

イベントでは、弊社代表取締役社長の佐々木裕子から総論を、在宅医療、在宅介護の現場から医療法人社団悠翔会(ゆうしょうかい)理事長で医師の佐々木淳先生からご講演をいただきました。講演では、多くの医学的・統計的なデータと共に、コロナ禍の今、介護に直面するビジネスパーソンと彼らが働く企業側が知っておくべきことと、今後の行動指針に対する具体的なヒントが示されました。

(1)【総論:コロナ禍の中、仕事と介護の両立支援はどう変化しているのか】
講演者:佐々木裕子(株式会社リクシス 代表取締役社長 CEO)

(2)【基調講演】
『Withコロナ時代の高齢者の健康リスクと仕事と介護の両立』
講演者:佐々木淳氏(医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長・医師)

本レポート①では、(1)佐々木裕子による総論をご紹介します。

『総論:コロナ禍の中、仕事と介護の両立支援はどう変化しているのか』
講演者:佐々木裕子(株式会社リクシス 代表取締役社長 CEO)

佐々木(裕):本日は、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。厚く御礼申し上げます。弊社は、超高齢化社会をどのように豊かにしていくのかという観点から、ビジネスパースンの仕事と介護を両立させていくための様々な支援事業を営んでおります。

今、私たちは新型コロナウイルスの感染拡大、いわゆるコロナ禍という大きな変化の中に直面しています。高齢者介護・医療の考え方も、私たちビジネスパースンの仕事の仕方も、大きく変わらざるを得ません。

withコロナのこの時代、私たちビジネスパースンはどのように仕事と介護の両立に向き合っていけばいいのか、そして、どのように行動していけばいいのか・・・。本日は、こうしたことを皆さんと一緒に考える場を持ちたいと考え、在宅医療・在宅介護の現場からこの分野のフロントランナーであり、雑誌フォーブス(Forbes)にも紹介された、医療法人社団 悠翔会(ゆうしょうかい)の理事長で医師の佐々木淳先生に基調講演をお願いしました。

佐々木淳先生のご講演の前に、私から、今回のコロナ禍で起きているパラダイムシフトの変化をどのように捉えればいいのかという観点でお話しさせていただき、それから先生にお繋ぎしたいと思います。


リクシスの3つの事業領域をまとめたもの

●仕事と介護はコロナ禍でどう変わったか?

佐々木(裕):弊社リクシスでは、超高齢化時代の今、ビジネスパースンの仕事と介護を両立させるための事業として3つのサービスを提供しています。

1つ目は、主に企業人事の皆さまに向けて、社員が仕事と介護を両立できるように支援するプログラム「LCAT」をご提供させてさせていただくサービスです。2つ目が、在宅シニアの方がどういったニーズをお持ちになっているのかということを介護事業者の方々と一緒になって調査していくマーケティング支援・リサーチ事業。さらに3つ目が個人向けに、普段なかなか会えない老齢の親御さんとの間を繋いで、日々コミュニケーションを取ったり、エイジングリテラシーを上げていくようなアプリサービスです。

いずれも、超高齢化社会に生きるビジネスパースンを直接・間接に支援するものです。こうしたツールが必要になっていること自体、私たちが大きなパラダイムシフトの中にいるということを示唆するものです。そして、今、そのパラダイムシフトそのものが、もう一つの大きな事件、今回のコロナ禍によってさらに様相を変えようとしています。

皆さまご存じのように今まさに新型コロナウイルスの第3波がやって来ているところです。最初の波が来てから既に8カ月以上経っている状況ですけれども、私たちの実際の働き方、ご家族との接点や関係性もずいぶん変わってきたのではないかと思います。

特に、私たちの仕事の仕方では、「ニューノーマル」という言葉が示す通り、リモートワークが主流になってまいりました。これは感染防止という観点で世界的な傾向だと認識しています。


全国の感染者数の推移

(データ提供元:FASTALERT(ファストアラート)新型コロナウイルスリアルタイム情報 )

●生活と家族がメインという意識の変化

佐々木(裕):この結果、介護をする当事者である従業員の方と(そのご家族にも)、大きな「キャリア観の変化」が起きています。具体的には、感染拡大前と比べて仕事より生活を重視する人が増えています。

家族ケアに関しても、これまでは「基本的には仕事がメインであり、家族ケアは一部の人がやるもの」というのが昭和の時代から続くビジネスパースンと企業の考え方でした。しかし、今では、すべての方が生活を前提に仕事を調整するという意識変革が徐々に起こりつつあります。今では、家族ケアは「すべての人の」前提条件であり、「生活を前提に仕事を調整する」という時代になっているのです。当然、仕事仲間との時間よりも家族との時間が増えてきます。

内閣府の新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査から


新型コロナウイルス感染によって「仕事前提」から「生活前提」にシフト

●コロナ禍で高齢者の健康が脅かされている

佐々木(裕):さらに、今回の感染拡大によって、高齢者の方が外出自粛をせざるを得ない状況になっており、運動不足による体調不良が増えていると考えられます。これは少し前のデータで、2020年6月にオムロンヘルスケアが行った調査結果ですが、高齢者の半分くらいの方が1時間くらい運動の時間が減ってしまったと答えています。

こうした状況下で、ビジネスパースンが自分の親のことを考える時間が増えています。ほぼ同時期に行った弊社のアンケート調査では、65歳以上の高齢の親御さんをお持ちのビジネスパースンの7割が、外出自粛前に比べて親御さんの健康状態についてかなり考えるようになったという結果が出ています。コロナ禍によって家族ケアに関する感度が高まり、さらに、高齢の親について考える頻度が増えたというのが今回起こったシフトだと考えています。

65歳以上の高齢者1000人に聞いた“withコロナ”実態調査( 出典:オムロンヘルスケア、2020年)


65歳以上の親を持つビジネスパースンを対象として、新型コロナウイルス感染拡大が家族間コミュニケーションに与えた影響を調査した結果
(出典: 2020年 株式会社リクシス)

●「会えない」不安、「悪化する」不安

佐々木(裕):私どものLCATでは、4000名くらいのビジネスパーソンの方が受講してくださっていますが、その方々からこうした状況に対する不安の声が挙がっています。

LCATでは、インタラクティブに診断をしたりコメントをいただく機能がありますが、コロナ後にお答えいただいた方々のコメントを拝見しますと、2つの不安が浮かび上がってきます。

1つ目は、親御さんと「会えない」という不安です。コロナ禍で皆さんなかなか帰省ができていません。特に遠距離の場合にどうやって介護をしたら良いのか不安に思うというお話しが多数出ています。

2つ目は、親御さんの健康状態が「悪化する」不安です。こちらも大きなものになっています。現在は、親御さんによる老々介護で、ビジネスパースンの方ご自身はまだ介護を主体的にやっているわけではないけれども、どちらかの状態が今より悪化したらどうしたらいいのかという話です。

コロナ禍の中でデイサービスが十分に受けられない事態もあると伺っています。そういった中、コミュニケーションが不足して認知症が加速するかもしれない。これをどうしたらいいのかにもの凄く悩んでいらっしゃるという悩みも記録されています。

弊社LCATに寄せられたビジネスパースンの「不安」の声

●これまでの両立支援策の限界も明らかに

佐々木(裕):一方で、最近、リクルートワークス研究所から、仕事と介護に関するこれまでの両立支援策について限界があるのではないかという指摘が出されています。

今、企業では介護に関するセミナーや研修など様々な施策を打たれていますが、その成果がどうなのかという論文が出されたのですが、介護について事前に上司と相談したり、事前に研修を受けていることが、持続可能な介護と仕事の両立と有意なマイナスの関わりを持っているという結果が提示されたのです。

私はこの論文にとても驚き、執筆された方と議論をしたのですが、本人も上司も「介護イコール自分でやること」であり、「介護は会社を休んでやること」という考えが無意識の前提になっている場合が多く、結果、本当だったらプロにお願いすべきことを自分でやってしまうためではないかとのことでした。

企業側の教育にも問題があるとのことでした。2つあって、1つ目は、どうすれば仕事と両立しやすい介護体制を作れるのかとか、高齢期の健康についての考え方、介護サービスの利用について具体的かつ実践的なリテラシーを社員に教える啓蒙教育が企業主導ではなされていない可能性があること。もう1つは、支える側である管理職などへの教育が十分ではない可能性です。介護している社員が孤軍奮闘していることが多く、組織全体で、人事制度などの運用や、業務をどうやっていくか、介護の当事者となった社員にどう接していくとかという意識について、両立リテラシー教育が必ずしも十分ではない状況が伺えるという話になりました。


これまでの両立支援策の限界も明らかになってきた

佐々木(裕):今回のコロナ禍によって、ニューノーマル時代の仕事と介護の両立支援は、けっこう大きなパラダイムシフトが必要になっていると感じています。

今までは制約社員、つまり介護に関わらなくてはならなくなった社員と家族の方々向けに、必要な時に自ら介護できるようにサポートする休暇制度などがありました。これは制約社員のための支援です。

ですが、これではむしろ介護の負担は上がってしまう。これからは、組織全員が実践的な両立をしていくためにどういうことを理解してどんなノウハウを持っていなければいけないのか、誰と繋がっていなければならないか、という基本的なリテラシーをちゃんと装着することが必要です。まだ介護に関わっていない社員や、上司の方も含めて全社員が共通認識を持つための支援が重要だと考えています。

特にこういうコロナの時代ですので、今何が起きているのかということについて、リテラシーを上げていくことが極めて重要になってきます。そういった観点から、今日は佐々木淳先生に、在宅医療の現場の視点から、今の私たちが何を理解しておかなくてはいけないのかについてご講演をいただきたいと思います。佐々木淳先生は、医療法人社団 悠翔会(ゆうしょうかい)の理事長を務めておられる、在宅介護在宅医療のフロントランナーであり、実に5500人の在宅の患者さんをを24時間体制で診てらっしゃいます。それでは佐々木先生お願いします。

 

【withコロナ時代の高齢者の健康リスクと仕事と介護の両立②】『佐々木淳医師による徹底解説ー超高齢社会に知っておくべき「老い」のメカニズム』はこちらからお読みいただけます。


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